JKC繁殖指針とブリーダーの役割

​正しいブリーディングと守るべき心得

犬の繁殖は、犬種の犬質向上及びその犬種が有する体質改良を目的として行われるべきものであり、そのために最低限、次の事項を厳守する必要があります。

 

  1. 犬種のスタンダードについて、良く理解し把握しておくこと。

  2. 血統内容及び犬種のタイプ、性格を理解すること。

  3. 交配の良否、犬種の有する遺伝性疾患について究明し、発症を防ぐために無計画な交配はしないこと。

  4. 牝犬の生殖生理を十分に知っておくこと。

  5. 出産後、子犬の管理を十分に行い、譲渡前に駆虫、骨学的遺伝疾患の有無をチェックすること。

  6. 奇形や欠点を有した子犬は、他の者に対し絶対に提供しないこと。

  7. 生まれた子犬の血統登録を速やかに行うこと。

 

繁殖とは以上の事項を心得として、

前述したように犬種の向上を目的として行われるべきであり、決して営利目的で行っていい行為ではありません。

健康な犬を繁殖するには

繁殖は、前述したように犬質を向上させる目的で行われる行為であり、そのために、交配する牡犬の選定が大変重要であるといえます。少なくとも自分の所有する牝よりも優れた子孫を作出できるように牡を選ばなければなりません。

 

優れた種牡の条件として次のようなことが考えられます。

 

◯その犬種の特徴を十分に供えた牡犬であること。

◯種牡として優れた遺伝力を有していること。

◯その犬種の有する遺伝性疾患を持っていないこと。

◯健康でかつ健全な身体と良い性格を有していること。

 

この他、健康な犬を繁殖するためには、以下の点に十分注意しなければなりません。

 

◯犬種標準(スタンダード)を良く理解すること。

その犬種固有の特徴、外貌(頭部、ネック、ボディー、四肢、毛色、サイズ等)技能、 欠点等はJKC刊行の犬種標準書で勉強すること。

 

◯台牝となる犬の長所、短所を熟知すること。

特に短所については研究を重ね、台牝のもつ欠点を補える種牡を交配相手に選定することが重要です。仮に種牡が台牝の欠点を補えるとしても、同一欠点を持つ種牡とは交配してはいけません。

 

◯種牡、台牝の血統内容をよく調べ研究すること。

交配には、それぞれの血統内容によって、インブリード、ラインブリード、アウトクロスのように方法がいくつかあります。交配前に犬種の有知識者及び指導者の意見を聞き、研究してください。

一般社団法人ジャパンケネルクラブでは、親子の交配、または同じ父母から生まれた兄妹・姉弟による「極近親繁殖」は通常認めていません(極近親繁殖は許可制としています)。 近親繁殖をかさねると、骨格や身体が小さくなったり、遺伝性疾患、欠歯、内臓疾患、陰睾丸等が発生するので安易に行ってはなりません。

 

◯牡牝共に性格もブリーディングにとって重要なポイントです。

臆病及び獰猛な性格を有する犬の子犬は性格が親犬に似るので注意が必要です。性格は非常に遺伝力が強く出現します。

繁殖の現状とこれからの問題点

我が国では「ブーム」としか表現の仕方がないような、特定の犬種への人気集中が見受けられます。映画やテレビドラマやCM、メディアで話題となった犬種が人気を上げる原因となります。 古くは、「名犬ラッシー」やディズニーの「わんわん物語」が上映されたときには主人公であるコリーやアメリカン・コッカー・スパニエルが人気となり、近年ではコミック「動物のお医者さん」に登場したシベリアン・ハスキーの大ブーム、テレビCMに登場したゴールデン・レトリーバー、チワワ、ミニチュア・ダックスフンドのブームなどがありました。

 

一時的に爆発的な人気となった犬種は、多くの方々が欲しがるため、繁殖の基本である「犬質の向上」を無視した繁殖が行なわれる傾向が強くあります。 もちろん、「テレビで見たから」「みんなが飼っているから」などの安易な理由で欲しがる側にも問題があります。その犬種の本質を良く理解し、果たして自分がその犬に幸せな一生を与えることができるのか考えることが必要であるといえます。繁殖に携わる側も、安易な交配・繁殖を行なうのではなく、犬質の向上とその犬種の保護を常に心がけた繁殖を行なわなくてはなりません。

(以上、JKC繁殖指針より引用)

グローバルスタンダード

山梨八ヶ岳バーニーズマウンテンドッグクラブでは、国内唯一のブリード(単犬種)クラブとして、バーニーズマウンテンドッグの犬質維持及び犬種の保存、又さらなる犬種の繁栄と発展を目的として、基本理念に基づいた独自の繁殖規程を提唱しています。

 

欧米諸国(アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チェコ、デンマーク、イギリス、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、スイス、ラトビア、リトアニア、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、ロシア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、アメリカ、など)には、各国のケネルクラブから独立したバーニーズマウンテンドッグクラブ(=ブリードクラブ)が存在します。これら各国のブリードクラブの中には、各々独自の繁殖規程を設置しているクラブもあります。ブリードクラブによる厳格な繁殖規程は、各国ケネルクラブでの様々な取り組みと相まって純血種保存においての重要な役割を担っています。

 

我々は、日本国内でJKC規格(=FCIスタンダード)に準じると同時に、前述のグローバルスタンダードの導入が犬種の発展への一歩であると考えています。他国の良きモデルを参考にして独自の繁殖規程を設定すること、またそれらを正確に適用することが、バーニーズマウンテンドッグの継続的な犬質維持とさらなる犬種の発展につながると考えています。

BMDCYの繁殖規程ガイドライン

山梨八ヶ岳バーニーズマウンテンドッグクラブでは、

一般社団法人ジャパンケネルクラブが定める繁殖指針の遵守を促進し、繁殖用個体の選定において下記の検査促進を推奨します。

股関節形成不全(Hip Dysplasia)の精密検査を受け、

 公的証明書(※1)を取得していること、またその結果がFCI基準(※2)を満たしていること。

 

肘関節形成不全(Elbow Dysplasia)の精密検査を受け、

 公的証明書(※1)を取得していること、またその結果がFCI基準(※2)を満たしていること。

 

膝蓋骨脱臼(Patellar Luxation)の精密検査を受け、これに罹患していないこと、またその要素を持たないこと。

 (米国では、OFA -Orthopedic Foundation for Animals- が発行する検査証明書を取得。)

 

離断性骨軟骨症(Osteochondritis Dissecans -OCD-)の精密検査を受け、これに罹患していないこと、またその要素を持たないこと。

 (米国では、OFA -Orthopedic Foundation for Animals- が発行する検査証明書を取得。)

 

甲状腺機能低下症(Hypothyroidism)の精密検査を受け、これに罹患していないこと、またその要素を持たないこと。

 採血により、FT4(遊離サイロキシン)、TSH(甲状腺刺激ホルモン)、TgAA(サイログロブリン抗体)の測定により診断。

 (米国では、OFA -Orthopedic Foundation for Animals- が発行する検査証明書を取得。)

 

大動脈弁下部狭窄症(Subvalvular Aortic Stenosis -SAS-)の検査を受け、これに罹患していないこと、またその要素を持たないこと。

 (米国では、OFA -Orthopedic Foundation for Animals- が発行する検査証明書を取得。)

 

眼瞼内反症(Entropion)、眼瞼外反症(Ectropion)、 進行性網膜萎縮症(Progressive Retinal Atrophy -PRA-)、

 白内障(Cataracts)の精密検査を受け、 これらに罹患していないこと、またその要素を持たないこと。

 (米国では、OFA -Orthopedic Foundation for Animals- 又は、CERF -The Canine Eye Registration Foundation- が発行する検査証明書を取得。)

 

変性性脊髄症(Degenerative Myelopathy -DM-)の遺伝子検査を受けていること。

 DNA検体採取により、SOD1 -c.118G>A- 及び SOD1B -c.52A>T- 2種類の遺伝子チェックが必要。

 

フォンウィルブランド病(von Willebrands Disease -vWD- Type-I)の遺伝子検査を受けていること。

 DNA検体採取による遺伝子チェックにて「Clear, Carrier, Affected」の検査結果で、Clearのみが繁殖に許容される。

 

 

※1 公的証明書

JAHD -Japan Animal Hereditary Disease-, OFA -Orthopedic Foundation for Animals-, OVC -Ontario Veterinary College-

BVA -British Veterinary Association-, SV -Schaeferhund Verein-,

その他各国のケネルクラブ認定の検査機関が発行する股関節及び肘関節形成不全においての裏書きのある公的証明書(評価報告書)。

 

※2 FCI基準

国際畜犬連盟 -Fédération Cynologique Internationale 略称:FCI- が定義する股関節形成不全及び肘関節形成不全についての評価基準。

股関節は、A -Normal-, B -Borderline-, C -Mild-, D -Moderate-, E -Severe- の5段階評価で、繁殖衛生上はA及びB評価のみを繁殖に許容する場合が多い。

肘関節は、0 -Normal-, 1 -Minimal-, 2 -Moderate-, 3 -Severe- の4段階評価で、繁殖衛生上は0評価のみを繁殖に許容する場合が多い。