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遺伝性疾患発生率減少プロジェクト

RGDP【Reduction of Genetic Diseases Project】

山梨八ヶ岳バーニーズマウンテンドッグクラブでは、VOA Japan(一般社団法人小動物整形外科協会)及び JAHD Network(特定非営利活動法人日本動物遺伝病ネットワーク)と連携して、犬種における前十字靭帯断裂および足根骨奇形についての調査を実施いたします。「足根骨奇形」という名称については、あまり普段は耳にしない病名だと思います。ここ数年、犬種における特有のものとして問題視されている疾患の一つです。足根骨とは、後肢の踵骨・距骨・中心足根骨などの足首の骨のことです。「逆飛節」などとも呼ばれる足根骨奇形は、特にバーニーズマウンテンドッグ種で多く認められている足根骨の形状異常です。整形外科のスペシャリストの間でも注目されており、遺伝や骨形態などが関与しているとされていますが、その原因やメカニズムについては殆ど解明されていません。

 

遺伝性疾患発生率減少プロジェクト(RGDP)は、VOA Japan/JAHD Networkにより定義されたガイドラインに準じて認定医による画像診断を行います。犬種特有の疾患(前十字靭帯断裂と足根骨奇形)について調査し、その全容の把握と遺伝的要素の関与について分析するとともに、バーニーズマウンテンドッグの繁殖と健康問題を改善することを目的として取り組んでまいります。2020年3月現在、VOA Japan/JAHD Networkとの協議を重ねプロジェクトについての準備を進めている段階です。多くのバーニーズマウンテンドッグオーナーの皆さまのご協力が必要不可欠となりますので、犬種の明るい未来を目指して是非ともプロジェクトへご参加いただきますようお願い致します。

犬の遺伝病について

遺伝子はすべての生物が持つ遺伝情報です。細胞の核の中には染色体が入っていて、染色体をほどいていくと、ひも状のらせんの構造をしたDNAが現れます。DNAはデオキシリボ核酸という物質で、二重らせん構造をしています。DNAのひもの部分は、糖とリン酸でできていて、ひもを橋渡しする物質は塩基でできています。遺伝子は4種類の塩基A(アデニン)・G(グアニン)・C(シトシン)・T(チミン)の配列によって決まっていきます。この遺伝子配列がさまざまな要因で本来の配列と変わってしまうことを遺伝子変異といって、遺伝子変異が起きると重篤な遺伝病が発現してしまうことがあります。

 

遺伝病は、その変異型遺伝子を保有する親から子へと受け継がれていき、先祖から子孫へ遺伝する疾患を遺伝性疾患と呼びます。遺伝性疾患を減らす方法は疾患の発症のない犬同士を交配させていくことが重要となります。また両親ともに変異型遺伝子を保有していると子が遺伝性疾患を発症する可能性はさらに高くなります。異型遺伝子を持っていても症状が出なかったり、軽度な症状であれば専門家でなければ見逃してしまうことも多くあります。遺伝性疾患を減らすためだけでなく、なかには関節炎など進行性の疾患については早期に適切な治療を行わないと年をとってから重篤な症状を発症することもあり愛犬の疾患を早期に発見して対処するためにも疾患をもっていないかを検査することが重要です。

 

前述したとおり遺伝性疾患を検査・登録する大きな2つの目的があります。まず1つ目の目的は愛犬の状態を把握して遺伝性疾患を持っていても早期に発見し、適切な治療を行なえば、良好な生活を送ることが可能な場合が多いのでより早い段階で愛犬の検査・登録をする必要があるということ。2つ目の目的はその犬種の将来のために、遺伝性疾患を減少させることが可能になります。純血種の繁殖はほとんどの場合に人が関与して犬種特性とも言える気質、容姿ともに素晴らしい犬達がたくさん生まれます。ただその影で、遺伝性疾患を持った犬たちもかなりの割合で生まれています。遺伝性疾患を減らすには、多くの飼主のご理解ご協力による検査・登録が不可欠になり、検査・登録が確実に行われれば確実に遺伝性疾患を減らしていくことが可能となります。

(以上、日本動物遺伝病ネットワーク公式ウェブサイトより引用)

遺伝性疾患を減らすために重要なこと

バーニーズマウンテンドッグにとって「股関節形成不全」及び「肘関節形成不全」は最もポピュラーな遺伝性疾患です。これは今日遺伝学的にその発生率を減少させることが可能だと考えられています。遺伝性疾患とはその名のとおり先祖から子孫へ遺伝する疾患です。遺伝の形式は様々ですが、原因となる遺伝子が解読されている疾患はほとんどないため、遺伝性疾患を減らすには疾患の発症のない個体同士を交配させていくことが重要となります。しかし、遺伝性疾患には厄介なことに、その本犬に疾患の発症がなくても遺伝性の素因を持っていて、子孫への疾患の運び屋になってしまうものが存在します。そのため、素因を持つ個体も交配させる際に除外していかないと遺伝性疾患を減らしていくのは困難です。遺伝性疾患の多くは、その個体がブリーダーからオーナーの皆様の手に渡った後でないと診断することが出来ません。このことは、遺伝性疾患を減らしていく上で大きな意味合いを持ちます。

 

遺伝性疾患を減らしていくためには、両親、祖父母の情報はもちろんのこと、兄弟や近親系の情報が大変重要となります。遺伝性疾患を減らしていくには、一つ一つの疾患に対し、全ての個体(ブリーダーが交配に使用するべき個体及び交配に使用するべきでない個体)を検査し、その情報を使って疾患の発生のない、あるいは少ない血統を選んで交配させる必要があります。しかしながら、ほとんどの犬が検査を行なう時期にブリーダーからオーナーの手に渡ってしまっているため、オーナーの皆様に、この検査及び登録を行なっていただく必要があります。多くの方々の協力のもとに登録数が増えていけば、個体の先祖、子孫、兄弟などの近親のものの遺伝性疾患についての情報が得られるようになり、遺伝性疾患を減らすための大きな力となります。

 

山梨八ヶ岳バーニーズマウンテンドッグクラブでは、「遺伝性疾患発生率減少プロジェクト」を推進しています。前述の内容からもご理解いただけるとおりこのプロジェクトは、犬種の繁殖に携わるブリーダーのみの課題ではありません。犬種の健全性における重要な問題を改善するために全てのバーニーズマウンテンドッグオーナーの皆様に取り組んでいただく必要がある重要なプロジェクトとなります。イベントやセミナーにてこの「遺伝性疾患発生率減少プロジェクト」の推進についての啓蒙活動に取り組んでいます。

日本動物遺伝病ネットワークについて

特定非営利活動法人 日本動物遺伝病ネットワーク(JAHD Network)は、獣医師によって設立された動物の遺伝性疾患の診断、データベースの構築を柱に、遺伝性疾患に関する科学的な研究、情報提供などを行っていく団体です。

遺伝性疾患に関しましては、いろいろな考え方、取り組みがあるとは思いますが、JAHD Networkといたしましては、動物を愛育し健全な繁殖を目指している皆さまが、遺伝性疾患について考慮する際の手助けとなる有用な情報をご提供できるように活動していく所存です。その結果、人と動物とのより良い関係が築き上げられて行くものと確信しております。

今後、飼い主の皆さまに、JAHD Networkの趣旨をよくご理解頂いた上で、検査・診断・登録を行って頂きたくお願い申し上げます。また、将来増大すると思われますデータを円滑に閲覧できるシステムに取り組んでおります。ある程度の統計的に有意義な登録数になった時点で血統間の結合をしていく予定ですが、それには数ヶ月を要することをご理解いただけますよう宜しくお願い致します。

(以上、日本動物遺伝病ネットワーク公式ウェブサイトより引用)

森淳和獣医師プロフィール

特定非営利活動法人日本動物遺伝病ネットワーク(JAHD Network)理事長

DVMs どうぶつ医療センター横浜 整形外科医長

株式会社 ONE for Animals 代表取締役

1974年 広島県生まれ

1999年 麻布大学獣医学部獣医学科卒業

2001~2007年 麻布大学付属動物病院整形外科専科研修医

2003年~ 特定非営利活動法人日本動物遺伝病ネットワーク理事長

2004年 ペンヒップ認定医

2007~2013年 麻布大学外科学第二研究室

2008年~ DVMsどうぶつ医療センター横浜二次診療センター整形外科医長

2013年~ 株式会社ONE for Animals 代表取締役

お問い合わせ

遺伝性疾患発生率減少プロジェクトについて、ご不明な点やご質問等がございましたら下記までお気軽にお問い合わせくださいませ。

BMDCY運営事務局・ヘルスサポート委員会 担当:福岡

​TEL. 080-5364-2967    Mail. info@bmdcy.org

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